導入事例

Case study
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通信事業 A社

業種
通信業

技術だけで持続可能なデータマートは創れない

  • ダッシュボード環境の最適化
  • データマート構築
  • データマート・ダッシュボード構築
導入事例の概要
デジタル化の進展に伴い、迅速かつ的確な意思決定が求められる現代の通信業界において、大手通信会社では、各サービスの新規ユーザー数や月間アクティブユーザー数などのKPIを一目で確認できるダッシュボードの構築が急務となっていました。こうしたダッシュボードを通じて、データに基づいた戦略立案や運用改善を定期的に行うため、統一的で整然としたデータ管理が必要とされていました。

課題 必要だったのは指示書にはない「間を埋める」仕事

分析屋はデータマートの整理と最適化、ダッシュボードによる指標の一元管理を担当することとなりました。

一方で、開発環境にはさまざまな課題がありました。

まず、整備されていない開発ルール。スクラム開発でプロジェクトが進行していましたが、開発ルールが整備されていないことでトラブルが頻発。プロジェクト進行が滞りがちでした。さらに、別チームからの引き継ぎによって、データマートやダッシュボード構築の背景情報が十分に共有されておらず、各チーム間での連携も不足していました。

その結果、データマート内でのデータの管理に不統一が生じ、指標取得の頻度もサービスごとに異なる状態が続き、データを活用するための基盤がなかなか立ち上がっていかないという状況でした。

プロセス① 隙間時間でパッと創って見せ、合意形成を取っていく

分析屋では、本プロジェクトの肝はデータマートやダッシュボードの構築だけでなく、開発ルールや開発環境全体の整備にあると考え、依頼内容を進行させながら課題を解決するアイデアを随時こちらから提案していきました。特に、開発ルールや環境の整備に関してはクライアントからの直接の要望ではなかったため、進行の合間を見て迅速に提案内容のたたき台を作成し、その場で確認を取りながらスモール&クイックスタートのスタイルで進めていきました。

例えば、情報の整理・共有を効率化するツールとしてConfluenceの活用を提案しました。実際にはConfluenceはすでに導入されていたものの、あまり活用されておらず、情報が分散しやすい状況が続いていました。そこで、要件定義をすべてConfluence上に集約し、設計書や他のツール(BacklogやTeams)にリンクを貼ることで、情報が流出しないようにする利用方法を提示しました。特に、シェアポイントやExcelで作成されたドキュメントと要件をConfluence上で整理・紐づけることで、同じ情報の重複作業を防ぐことができ、プロジェクト全体での効率化に大きく貢献しました。

このように、プロジェクトの進行中に提案を重ねることで、全体の生産性を向上させる取り組みを行っていきました。

プロセス② 開発側が抽象を理解しないと具体に落とし込めない

本プロジェクトでは、コンサルタント会社がスクラムリーダーとして全体のプロジェクトを統括していましたが、システム開発面でのエンジニアリング力が不足しているという課題が顕在化していました。

分析屋は、抽象度の高いビジネス要件を具体的なシステム要件に落とし込むスキルを活かし、クライアントとの間で共通のルールを抽象化して整理しつつ、それを現場に適用するための具体的な実装を提案しました。これにより、従来のコンサルタントでは抽象的な提案で終わってしまっていたプロセスが、現場に適応した実際的な開発ルールに変わり、開発スピードの向上とエラー削減を実現しました。

特に、分析屋のコミュニケーション力の高さが評価され、クライアントやエンジニアチームとの橋渡し役としてビジネスとシステムの接続が強化され、対等なパートナーシップのもと、データ分析の効果を最大化するための仕組みづくりが実現しました。

抽象要件と具体要件をつなぐ分析屋
システム開発の領域において、抽象要件を具体要件に落とし込めるかどうかは、コンサルタントが具体要件における知見をいかに持っているかによります。分析屋は具体要件を理解しているのと同時に、抽象要件を汲み取るコミュニケーション力を武器としているため、橋渡しとして活用することで抽象要件を具体要件に落とし込める幅が広がります。私たち分析屋はこのポジションを「究極の二次請け」と自称しています。

まとめ クイックなたたき台で物事を進めるおもてなし

私たち分析屋が掲げる「おもてなし分析」は、単なる「モノ作り」に終始するのではなく、クライアントニーズの達成に徹底的に寄り添うことにあります。システム開発の現場でありがちな、提案をしなかったり、提案をしても形にならない膨大な資料をただ提示するだけでは、クライアントとの「共創」は成り立ちません。資料の読み込みに時間がかかるうえ、内容が実務に即さない場合、クライアントの本当に求める成果とはかけ離れてしまいます。

今回のプロジェクトでも、私たちはクライアントの要望に応じたデータマート・ダッシュボードの開発を進めながら、たたき台となる具体的なプロトタイプをクイックに作成し、その場で提示することで、短い時間で双方が納得できる合意形成を図りました。このアプローチは、クライアントの負担を減らしつつ、本当に必要とされる価値を引き出す「おもてなし」の精神を体現しています。

スティーブ・ジョブズが「人はモノを見て初めて自分が欲しかったモノを理解する」と語ったように、私たちはただの指示書通りの納品に留まらず、一歩踏み込んだ提案を通じて、クライアントが本当に欲しいものを引き出すサポートを重視しています。提案がなく、実務に即さない資料の山では、クライアントの求める成果には届きません。私たちは、クライアントと対等な立場で共創し、データ活用の成功を共に築き上げるITパートナーとしての使命を果たしてまいります。

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