汎用性が高すぎるデータ活用の鍵は、技術力以前にコミュニケーション力
- PowerBI運用スキル
- ダッシュボード構築
- データ一元管理
- 導入事例の概要
- 大手通信会社が小売・飲食業向けに、会員データ・GPS位置情報を活用したレポーティングサービスを提供するプロジェクト。通信会社が保有する会員情報やGPSデータを用いて、顧客の行動と商圏特性を可視化し、提供先の企業がより精度の高いマーケティング戦略を実施できるよう支援しています。本プロジェクトの要件定義から、分析設計、データ収集、レポート作成に至るまでを、弊社が一貫して担当しました。
課題 汎用性が高すぎるがゆえリアルに落とし込みづらい
マーケティング戦略に有用な会員データ・位置情報。うまく活用できれば、自社の重点顧客がどのエリアに住んでいる傾向があるのかなどを明確に知ることができます。
一方、会員データ・位置情報などを活用する際の難しさは、その汎用性の高さにあります。あらゆることに利用可能なデータであるため、実際のビジネスとどのように結びつけるべきかを整理できるかどうかが肝になります。
そこまでを踏まえた上で対応できるデータ分析支援企業は少なく、大手通信会社より分析屋にご依頼いただきました。
プロセス 「尋問にならない」目的のすり合わせ方
まず、クライアントと小売・飲食業のニーズを踏まえ、データ活用の目的・分析方針・具体的なレポーティング要件を定義しました。どの属性の会員データや、どの範囲の位置情報を使用すべきかを詳細に設計し、効果的な商圏分析ができるデータ項目を決定。こうして収集するべきデータの指針を明確化し、精度の高いインサイト提供のための分析フローを構築しました。
その際、私たちが意識したのは「尋問にならないすり合わせ」です。目的・要件のすり合わせでよく起きてしまいがちなのが、外注先がクライアントに「目的は何ですか?(目的は御社に決めていただかないと困りますというスタンス)」と、結果として詰め寄ってしまうパターン。特に、汎用性が高すぎるがゆえの会員データ・位置情報活用において、指示待ちの姿勢はプロジェクト進行を停滞させてしまう傾向があります。
私たちはそのようなパターンに陥らないよう、外注企業としてではなく、視座をひとつ上げ「共にプロジェクト成功のために動く者同士」としてコミュニケーションを重ねていきました。
「人流が増えていたらうれしいと思いますが、どの程度増えたらうれしいですかね?」
「自身の経験も踏まえると対比で110%出たら良い方だと思いますが、これ以上出ないと困るという基準などあったりしますか?」
このように対等かつ引き出すコミュニケーションで、目的・要件・クライアントが本当に必要とする指標を明確にしていくことができました。

成果 利用者拡大に成功
このレポーティングサービスにより、小売・飲食業の企業は、どのエリアからどのような顧客層が来訪しているのかを把握し、店舗の利用傾向を具体的に理解することができるようになりました。これにより、ターゲティングの精度が向上し、集客・リピーター施策に活かせるようになり、マーケティング戦略の効果がより明確になりました。
クライアントである通信会社も、提供先企業に対して価値あるデータインサイトを継続的に提供できる基盤を確立。営業成果の貢献につなげることができました。
まとめ 「おもてなし」=「実務コンサルタント」
私たち分析屋が掲げる「おもてなし分析」は「実務に即したコンサルタント」という言い換えもできる側面があります。本プロジェクトではまず視座をひとつ上げ「顧客の要望をお伺いする」のではなく「顧客と対等に要望を整理する」スタンスを取ることで、目的・要件をすり合わせることに成功している事例です。私たちはコンサルタントのように膨大な資料を作成し大上段の戦略立案をするといった立場ではありませんが、実務に即した部分においてはより質の高いコミュニケーションを重ねコンサルタントのように共に知恵を絞り、共に創り上げていくスタンスを重要視しています。
顧客の指示に従い、技術力や専門知識を提供するだけで通用するのはシステム開発などいわゆる「モノ作り」の領域だけです。いえ、モノ作りの領域においても本来技術知見の提供だけではうまくいかず、いまだにプロジェクトの炎上は日常茶飯事と化しています。「ビジネス作り」であるデータ分析領域においてはさらに技術知識の提供だけでうまくいくことなどなく「共に考える」ことは必須要件です。私たちはおもてなしの精神を武器に、モノ作り精神を脱却したIT集団として顧客のデータ活用を成功に伴走いたします。